言及:真・女神転生III

真・女神転生III

RPGとしては紛うことなき傑作。
女神転生としては…どうだろう?

真・女神転生IIIメガテン最高傑作!という評価を見る度にモヤモヤするポイントだ。
RPGとしての面白さを含めるなら、メガテン最高傑作という言葉は間違っていないと思う。
しかしあまりにも女神転生としてテイストが異質すぎると私は思っている。

本作から女神転生に触れたプレイヤーにはピンと来ないと思うが、
崩壊した東京で悪魔や組織の様々な理念・欲望・陰謀に晒されながらも逞しく、
時には惨めに生き抜くニンゲン達が描かれていたのが私にとって女神転生シリーズの大きな魅力だった。
そもそも東京受胎により普通のニンゲンがほぼ居なくなってしまっているため、
私にとっては女神転生としてかなり異質なタイトルに見えるのだ。

もちろん自分にとって最高のメガテンは真IIIだという熱い想いを持つ人はいるだろう。それはとても良い情熱だ。
だがシリーズにあまり触れてきていない人が脳死で唱える「真IIIこそが最高のメガテン」という言葉には私は大いに異を唱えたい。

メガテンが持つ「美徳より背徳」「高揚より安堵」「絡み合う悪魔と人々の思惑」「凋落からの復活を目論む神々」…こういった
他のRPGには見られない独特の要素を色濃く引き継いでいるのはむしろ真IV、真IVFの方ではないか。


真IIIを貶める意図はない。
完成されたシステム、編成の自由度と非常に高い戦略性、生き方と世界について考えさせられるコトワリ…真IIIが魅力的すぎるRPGである事は疑いようが無い事実だ。
しかしながらメガテンシリーズが持つ独自のテイストは薄目ではないか。
そんなところだけが玉に瑕ではないかなと私は思うのだ。

無論、それを欠点とは思わずむしろこっちの方がメガテンらしい!
そう考える人もいる事は承知しているのだけれど。

私の語った「メガテンらしさ」について同じ想いを抱いている人。
そんな人と一度思う存分女神転生を語ってみたいものだ。


了。


(私が4gamerにシズ名義で投稿した読者レビューから内容を一部引っ張ってきています)